左官一服噺  テレビ放映○新美の巨人たち4

弊社の鈴木亮佐がテレビに出ました。ことの起こりは、弊社ホームページの「左官一服噺  歴史○擬洋風建築」をみたテレビ局の制作者が見た結果でした。制作会社は「松本にある旧 開智学校の漆喰のコーナーストーンを再現してほしい」・「時間がない。企画・撮影を10日程度で」というものでした。コーナーストーンの制作過程を3回の収録で行うことで決定しました。

鼠漆喰にする顔料の左官用灰墨は、油煙(ゆえん)といって、油分が含まれた炭素の「すす」です。
そのため、水となじみが悪く、直接漆喰に入れて塗ると、漆喰に色むらができてしまいます。昔の左官屋さんは、お酒で灰墨を馴染ませてから漆喰を練り込んでいました。これで、漆喰の色むらは防げます。これも、経験から生み出された貴重な左官技法の一つです。

焼酎に胚墨

傾斜小口から鼠漆喰塗り

上塗り漆喰

上塗り漆喰

上塗り漆喰

明治期の建物のセメントモルタルでのコーナーストーンはエッジが立っています。コーナーストーンで、なぜあのような寸法と形状したのか?考えてみました。まず、寸法は、棟梁の立石が「横幅3尺、縦幅は9寸、高さを1寸5分とせよ」としたのかもしれません。
そうなると、左官は中塗り完成後、その寸法に建物下部から墨を追い出したと思います。墨を打つと、撮影時の墨出しと異なり、墨の外側に、定木を打ち、定木コーナーから土を詰め込んだと思います。何層かにして塗り込こんで、固まった後に定木を外します。しかし、その時点で中塗りと石面との境界界面でひび割れが発生することがあります。そこで、仕方なく斜めのエッジ作ったと考えます。エッジを傾斜させることで雨や雪の侵入を防げて剥離防止になるかもしれません。また、石と石の細い目地は、石積みの施工認識が少なかったのかもしれません。
よって、今回は定木を墨の外側にして、刀刃を詰め込んでいます。

杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335 http://s-kent.jp/contact/

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