内壁に使用する材料と特徴

内壁も外壁同様に、多くの工程とそれに伴った材料があります。ここでは内壁で使用する材料とその特徴を。また、どのような商品が販売されているかを、表にしています。これから、塗り壁をとお考えのかたは、ぜひ参考にしてください。

下地ボード

内装では最も一般的なものは、石膏系のものです。石膏は火は強いのですが、水に弱いという弱点があります。ですから石膏は、浴室や外壁には使用不可となります。

工程 材料 施工特性 主な商品
下地ボード 石膏ラスボード(GL-L) 石膏ボードの表面に長方形のくぼみをつけ、機械的に付着効果をしたもの。断熱材が充分充填された外壁面はそりがでることがあるので、留め付けに留意する。 ニュ-ラスボ-ド、ラスボード
石膏平ボード(GL-R) 石膏ボードの標準的なもの。施工性がよく、薄塗りに適している。下地胴縁450㎜間隔で ビス留めがよい。 タイガーボード、汎用 石膏ボード
ケイカル板 セラミック素材 バーミキュライトを主原料とした調湿ケイカル板。吸水が大きいので吸水調性は必要。 モイス

目地テープ

ボードの継ぎ目には、ジョイントテープを張ってひび割れ防ぎます。目地テープは、目地処理材と併用して使用するもので、ボードの継目を伏せ込むようにして施工します。

工程 材料 施工特性 主な商品
目地テープ張り 紙製ジョイントテープ 40~50㎜紙製のテープで糊付きとそうでないもの(専用の糊材)がある。ひび割れ解消に効果があるが、空気が溜まりがないようようにはることが必要。比較的厚塗りの仕上げ材料に適用。 ジョイントスロットテープ、LNテープ、LN のり、フレックスコーナーテープ、タイガージョイントテープ
ガラス繊維製ジョイントテープ ボード継目部のひび割れ防止用で網状で幅50㎜・厚さ0.2㎜程度のガラス繊維がよく使用される。粘着剤が付いているものあり、ボードに直接貼り付ける。肉厚の薄い鏝やパテヘラで継ぎ目に沿って切り口方向によくしごき密着させる。 Gファイバーテープ、グラスファイバーテープ、MKジョイントテープ

目地処理

ジョイント処理とか継ぎ目処理といいます。石膏ボードの継目をジョイントテープやジョイントセメントを使用して、塗り重ね平滑に仕上げる工法です。

工程 材料 施工特性 主な商品
目地処理 ジョイントコンパウンド(反応硬化型) 主に焼石膏が主成分でペースト・粉末状がある。厚塗りが可能であるが、ボードとの塗り尻部分が段差がつきやすい。仕上げ材料で目地処理するシステムもある。 Uトップパテ、自然素材パテ(NP-1)、Vパッチ、コナパテ
ジョイントコンパウンド乾燥硬化型 主に炭酸カルシウムを主成分で通常はペースト状で粉体形もある。上塗りの際、吸水の違いによって処理部分に色むらの発生することがある。 タイガージョイントセメント、Sパテ

吸水調整剤・あく止め塗り

吸水調整とあく止めでは、使用する材料が異なります。吸水調整は、壁面に網状になるように、樹脂を形成させます。あく止めは膜を張るようにして、古い壁からのあくをシャットアウトします。

工程 材料 施工特性 主な商品
吸水調整剤塗り エマルションシーラー エマルジョン系の吸水調整剤でEVAが最も一般的に使用されている。濃い溶液を使用すると、むら乾きや色むらの原因となるので薄めの、5倍液程度のものを当日・前日に2回程度に塗る。 ハイフレックス、ハイモルエマルジョン・ハイポリックシーラー接着増強剤、シーレックス
あく止めシーラー 下地のアルカリやヤニを溶出をとめるもの。耐アルカリ性の合成樹脂エマルションの溶液やでんぷん糊。 自然素材シーラー(ES-1)、MKシミ止め、無臭シミノン、スーパーシミノン

下塗り

内装用の下塗り材料は主に石系と樹脂で固める乾燥系があります。それぞれ、材料の特質がありますが、石膏ボード拙稿には、収縮が発生しない同材料の石膏系が良と思います。

工程 材料 施工特性 主な商品
下塗り(石膏系) 石膏系(厚塗り) ラスボード下地に用いるもので、現場で砂を混入。水はきれいなものを使用しない硬化不良を起こす。 YNプラスター、SプラB
石膏系(厚塗り) ラスボード下地や厚塗り時に用いるもので、既調合軽量骨材入り。軽量で作業性が良いが、現場調合品より高価。 Bドライ、
石膏系(薄塗り) 平ボード下地に3㎜程度の薄塗りに用いるもので、既調合軽量骨材入り。石膏ボード下地専用である。 Uトップ、SSプラスター
石膏系(薄塗り) 3㎜程度の薄塗りに用いるもので、石膏ボード以外のRC・PC板にも対応。表面硬度が高く、塗装下地も可能。 Cトップ、Sプラ
乾燥形 乾燥形 内装用の既調合材料で作業性が良い。 シルベース、ボードフィラー 

上塗り(調湿形内装材)

調湿性能とは湿度を増減させる操作のことで、室内の湿度を一定に保とうとする作用です。仕上げ材料の調湿性能は吸放湿特性、透湿性に依存します。調湿形とされる内装材はJIS A 6909 吸放湿性試験によって性能が確認されたものです。当然弊社のライムウオールはその分類に含まれます。

工程 材料 施工特性 主な商品
上塗り(調湿形内装材) 調湿形内装材(珪藻土系) 水棲微細植物である珪藻の死骸が集積して水成岩化したものでこれ自体、自硬性がないので結合材料が必要とする。冬季施工に色むらが発生することがあるので、採暖することが必要。 ライムウオール

主な商品 シリックスリターナブルパウダー、タイガーケンコート・けいそうモダンコート、レーヴ、

調湿形内装材(シラス) 火山灰で、結晶する時間もなく急冷された火山ガラスである。軽石で比重が小さく、多孔質である。結合材が石膏、消石灰で硬化のメカニズムが異なるので注意が必要。 主な商品 薩摩中霧島壁(石膏)、アシュライト(消石灰)。
調湿形内装材(ほたて貝) ほたて貝殻を低温で長時間焼いて細粒化したのを消石灰等で硬化させるもの。ほたて骨材が露出するものもある。 主な商品 ほたて漆喰ライト、チャフウオール
調湿形内装材(ゼオライト) 加熱して脱水すると、結晶水が有った箇所がそのまま空洞として残り、多孔質化され、吸湿性・脱臭効果に優れた物性になる。 主な商品 クレタ、ゼオパレス

上塗り(漆喰)

漆をJapanese lacquerというように漆喰を弊社ではJapanese lime plasterと訳しています。日本の石灰による左官材料としたものです。漆喰でもたくさんの種類があります。ここでは、代表的漆喰を紹介しておきます。

工程 材料 施工特性 主な商品
上塗り(漆喰) 漆喰(生石灰クリーム) 多量の水の中で発熱して温度を上げない様に水を多くして消化したもの。可塑性が大きく、表面硬度が高い。鏝通しをしているうちに光がでるので整面するタイミングを見計らう。 主な商品 タナクリーム、クレタ、カルクウオール、マリンライム
漆喰(土佐漆喰) 塩焼き消石灰に、3ヶ月以上発酵させた稲藁すさを練り混ぜる。糊材を混入しないので雨水で戻り現象がない。一般の漆喰と異なり厚塗りが原則である。 主な商品 純ねり、純黒
漆喰(既調合漆喰) 消石灰にあらかじめ繊維・のり・骨材などを工場で配合したもの。現場調合よりは一般に品質が安定している。保水性がものは、吸水調整をしたり、糊材を混入することもある。日本漆喰協会では化学物質放散の自主認定制度を設けている。 主な商品 白い壁、城かべ、古代漆喰、カルヌーヴォ、SSコート,田中壁

上塗り(合成樹脂)

室内環境から判断して合成樹脂を室内に塗るのはと、いう疑問があると思いますが、現在室内に使用できるものは、室内に対応できるものです。

工程 材料 施工特性 主な商品
上塗り(合成樹脂) アクリル樹脂エマルション 塗り厚は3mm程度で、吹付け、ローラ塗り、鏝塗りなどによって表現自由度が高い。低温、雨天のときは、硬化がおそくなり不具合発生をおこすことがある。 主な商品ジョリパットシルキーパレット、マジックコトート。
アクリル樹脂エマルションと無機質結合材 無機有機複合によるハイブリッド化された塗り材で無機の風合いがだせる。充分な混練りが必要である。 FMX