左官一服噺  建築様式○看板建築( Signboard building )104

洗出し仕上げの看板建築

看板建築の基本的プランは木造2階建ての店舗兼住宅で、屋根裏部屋を造り、建物前面を平坦としています。通りに面した表半分を店舗にし、裏半分を住宅のものが多くあります。看板建築は、関東大震災後の復興で、主通りの道幅が広くなり、商店の敷地面積が減り、軒を出すことが不利に働いたことによると思われます。敷地面積が減ったことで看板建築に屋根裏部屋があるのは、敷地面積が狭くなったことによる商店主の苦肉の策ともいえます。しかし、外壁で洋風化された建物でも、建物の構成は、店舗が敲き仕上げ、奥の住居部分が和室の茶の間という日本風になっています。

ファサードの意匠は、博覧会および擬洋風建築の流れの洋風建築の手法を使用することが看板建築の大き

な特徴となっています。外壁の耐火性として、セメントモルタルや銅板等が使用されており、その意匠は、明治からの古典・様式主義からその時代の一番新しい建築様式、さらには江戸小紋などの日本独自の柄など、見よう見まねの西洋式と日本古来の意匠が混ぜ合わさったものです。

さらに、セメントモルタルや銅板細工は、非常に個性的で、看板建築の面白さをも創り出しています。看板建築によって、従来からの職人技術を応用したモルタル・人造石仕上げ・銅板葺きが使用されることで、職人にオリジナルな意匠を創り出す活躍の場が与えられる結果となります。

看板建築の看板は、屋号や広告等の看板が建築に付随しているものでなく、商店の二層から三層部分のパラペット部分が板状で、その部分に左官仕上げ等の装飾が施されており、その様がまるで看板のように見えることから名付けられました。看板建築は、正面および両脇のせいぜい1間程度が装飾仕上げとされてい、あす。その装飾は、手の込んだ仕上げで施され、その店のシンボル的なものになっています。看板建築は、東京下町に限らず関東一円に分布しており、身近なところで見いだすことができます。

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