左官一服噺  構法○網代泥壁(あじろどろかべ)wickerwork-clay wall  86

土壁の民家

土壁の民家

 従来日本の民家は、木造で構成されています。柱を建て、梁や桁を架け渡して骨組みを造り、その間を土壁で塗り籠めます。内からも外から骨組みが見えて、その間を土壁とする構法、つまり、柱の中心線に壁をつくる工法を「真壁」(心壁)といいます。この構法は仏教建築の渡来とともに、奈良時代から存在していました。

   真壁は一般民家でも中世以降になると、広く行われてきました。真壁の構造的美しさは構造に忠実で、材質の美しさをそのまま表した簡潔な意匠が近代建築に通じているからと思います。

 真壁構造で使用する柱が、曲がっていたり、あるいは自然材に近い丸みのある柱では、隙間なく左官が壁面を塗ることに、技術を要します。

 中世の近畿地方の民家では、土籠造りの壁が多かったのです。柱の外面に壁下地をつくり、両面から土を塗り付けます。内側からは柱が見えますが、外側からは柱が見えず一体の土壁となる。土蔵構法の初期の段階と見て良いと思います。

 このように、中世の頃の庶民の家は、灌木の小枝などで下地を造り、手で土を塗り付ける素朴で凸凹があるものでした。柱も出るところもあれば隠れるところもありました。真壁とも、大壁ともつかない壁で「網代泥壁(あじろどろかべ)」ともいわれました。

 網代泥壁は土壁仕上げの一種で、庶民の家での土壁で真壁とも、大壁ともつかない壁です。素朴で凸凹のある壁で、奈良盆地では「土籠造り(どごめづくり)」、但馬、加賀では「土壁造り(つちかべづくり)」とも、いわれています。

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