左官一服噺 材料○石膏の性質1(せっこう)(gypsum)83
石膏ボードに使用する石膏プラスターは、焼き石膏だけでは急速に固まり、鏝で塗ることができません。そこで、固めることを遅らせるリターダーというものを混入して、凝結時間を調節します。リターダーは、動物蛋白質を可溶化したもので、かつて、ヨーロッパでは、牛や豚の血液やにかわ質のものが使用されていました。
石膏は、漆喰材料と違って大変デリケートな材料です。水や細骨材の不純物によっても凝結時間、強度など、影響を及ぼすことがあります。我々が使用する石膏プラスターの性質の基本は、焼き石膏の性質でありので、基本的な焼き石膏の性質を熟知します。特に石膏の置き引き作業では、基本的なものです。
まず混水量の影響として
①.混水量を多くすると凝結時間は遅延し、強度を低下させ、膨張係数も小となる。
②.標準混水量以下で混練りすると、流動しがたく、気泡の混入も多くなる。標準混水量以上では、水が分離するので、標準混水量での使用が望ましい。
攪拌の影響として
①.混練りする攪拌速度と攪拌時間は凝結時間、強度、膨張、気泡など影響が大きい。
②.攪拌速度が大になるほど気泡は小さく、数も少なくなる。
③.攪拌速度の増加にしたがって凝結時間は短くなり、強度は増加する。水和が速められる。
④.攪拌時間が長いと凝結時間は短くなり、強度は増加する。水和が速められた。しかし攪拌時間と強度の関係は5分が限界でその後混練りを続けると硬化体の組織に影響を及ぼすことになる。
温度の影響として
① ポルトランドセメントでは高温時には強度発現が大きいが石膏プラスターでは逆に低温時のほうが強度の発現が大きくなる。石膏の強度は冬に大、夏に小となる。
石膏は温度が低いほど溶解度が高くなり微細な結晶を多量に生成する。夏期は冷水で混練りすると強度の高い石膏が得られる。
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