左官一服噺  材料○粘土(clay) 67

井の頭公演の掻い掘りの泥:長く池のそこにあり、植物性プランクトンが生育。生活排水がないためヘドロのような腐臭がない。

東京武蔵野市にある井の頭公園の掻い掘りの泥です。長く池の底にあり、植物性プランクトンが生育しています。生活排水がないためヘドロのような腐臭がありません。

土の誕生は約4億年前に、その原形がつくられたといわれています。地球の誕生がおよそ45億年前とすると、その歴史は以外に新しいものと感じられます。土は100年に5mmというような単位で、地表からすこしづつ、様々な層で構成されて、「土」として形成されていき、現在もその変化を遂げています。一般に土、粘土、砂はどのように分類するかは、各学会によって違いがあります。

その判定は一般に土の粒子によることが多いものです。粒子の大きさ2.0~0.2mmが粗砂、0.2~0.02mmが細砂、 0.02~0.002mmがシルト、0.002mm以下つまり 1000分の2mm(2ミクロン)以下の粒子が粘土と分類されています。砂と粘土は粒径の大きさだけではなく、その生成過程も異なっています。左官の博士である中村伸先生は、左官の土の粒度分布として0.05mm以下を粘土と呼び、それ以上を粒径によって微砂(シルト)、細砂、粗砂、磔に分類しています。

砂は岩石の一部である石英など、炭酸を含む雨水に溶けにくい鉱物が、単に物理的な風化作用によって細かくなったもので『一次鉱物』と呼ばれています。

粘土は、雨水によって溶け出た珪酸と、アルミニウムが再結合して生成されたもので、一次鉱物が化学的な変化を受け、構造、性質の異なった『二次鉱物』としてとらえられます。さらに、粘土を特徴づけるのは、岩石の風化によって生成する細粒の土質材料で、湿潤状態において粘性のあるものを『粘土』と称しています。粘土は“ねばつち”とも読まれ、『ねばりけ』のある土を意味します。

荒壁土・中塗り土・色土・れんが・瓦・セメント等と身近に存在する粘土でありますが、太陽系の惑星の中で粘土が見られるのは地球だけとされています。すなわち、粘土は地球を代表する鉱物であり、現在も粘土が形成されているのは地球だけとされます。粘土は鉱物学的には各種の鉱物の風化生成物を始め、未風化物の破片等を含み、その化学成分の及び粒の大きさ等の限界なく多種、多様であります。

その一部である左官用の粘土でも多様で複雑であり、日本では、名古屋地方から関西地方にかけて、花崗岩を風化した土が粘性があり、良質な土とされています。左官材料に限らず建築資材は、現代のように輸送システムが確立していない時期では、建設現場の地域より供給される資材を基本として使用してきました。特に塗り壁に使用する土は地場で採取されたものを主として使われてきて、他の地方に移出されることは少ないものです。

呼び名も、関西では「土」、関東では「泥」と変わります。採取される場所によって色と質も異なる。粘土の持つ様々な色合い・種々の質感は、その土地に特有の情感をその土地の建物に与えます。

img002-1杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335    http://s-kent.jp/contact/

 

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