左官一服噺 材料○ワイヤラス1 wire lath 42
ワイヤラスとは鉄網(てつもう)のことで、モルタル用としての使用鉄線が#16、#17、#18、#19、形状により、「菱(ひし)形ラス」、「亀甲形ラス」、 「丸形ラス」があります。現在は、ほとんど現場ではみられません。
昭和25年頃から我が国の建築需要はさらに激増した。同時に防火建築の必要性が認識され、建物の防火規定が制定されました。そして、戦前からの外壁モルタル仕上げが昭和40年頃に全盛期を迎えます。
当時のラス下地はメタルラスよりも施工の技術を要するワイヤラスが主流であったため、ラスの専門業者が施工していました。細部への張り付けは、手間取りため、メタルラスも併用していました。そのうち、専門業者でなくとも施工可能なメタルラスに徐々にその地位を奪われ、左官職人がメタルラスの施工も行うことになり、ワイヤラス下地は姿を消していきました。
ワイヤラスは鉄線を網状に編んだもので、ひし型、甲型、丸形の種類があります。編み目の大きさ、長さ、幅などは、様々ありましたが、幅を2mが標準としていました。ラス屋さんがバイクの2つ折にして現場に行く姿がよく見られたものです。
ワイヤラスの表面処理は、亜鉛メッキ処理をしたものとしないものがあり、処理していないものがモルタル施工前に雨にあたると、錆びてしまうこともありました。
工法としては、現在必要がなくなりましたが、参考に記載しておきます。下地の防水紙はメタルラスと同様です。ワイヤラスは上から仮留めし、上下の継目はワイヤで編み込み、左右の継目は、1山以上重ね横網張りとします。ただし、コーナー部分は、縦網張りとし角を出し、縦網と横網の継目を1山以上重ねて継ぎます。ラスの留め付けは、又釘で300㎜以内、ステープルを100mm以内で千鳥に打ち留めします。継目、開口部、出隅、入隅は、#10の力骨を差し込んで、打留めします。
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