左官一服噺 建物○高岡の土蔵(たかおかのどぞう) dozo-building of Takaokal 38
高岡の土蔵 は、黒漆喰で洋風要素があります。明治33年(1900)に高岡に大火がありそれを契機として富山県令第51号「建物制限規制」により東京と同様に「煉瓦造石造土蔵造」の耐火構造が義務づけられた。
高岡市で現存する大規模で質の高いされる菅野家(重要文化財)や筏田家の土蔵造りは黒漆喰仕上げである。この建物の特徴は外からでは発見できない屋根裏部分に洋風の小屋組が用いられていることにある。当時の大工棟梁たちは、いち早く洋風技術を日本の軸組に取り入れ、その洋風小屋組(トラス)を用いることによって大空間が可能となり西洋と和洋の技術が混然としている。これは明治26年にイギリス人技師による煉瓦造りの高岡紡績工場が建設され、地元の大工・左官が携わり影響を受けたと推測します。
写真の筏田家はかつて糸などの卸商を営んでおり、現存する建物は大火後のものであります。意匠は伝統的な和風で黒漆喰でありますが、構造は洋風小屋組で、持ち送りにはアカンサスの葉を模しています。高岡の土蔵の黒漆喰は、江戸黒とされ、高岡の人々は黒漆喰を毎年の祭礼時に磨くそうです。
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