左官一服噺 材料○スクラッチタイル(scratched face tile)26
スクラッチタイルとは、ひっかき傷のような縦溝のついたタイルのことです。旧帝国ホテル、東京大学はじめ多くの公官舎で採用されています。
帝国ホテルの建設に当たり、当時建築現場の脇で製作され、そこがタイル製造の工場にもなっていました。溝を切るのに等間隔の釘を板に打ち付け、これを両手で持って息を殺して真っ直ぐ引いたそうです。結果的には、この溝の醸し出す壁面での妖しさは、人間の手によるものでありました。現在でも、復元工事でスクラッチタイルが使用されますが、溝がきれいに等間隔で、削り滓(かす)がなく、手技(てわざ)のあとが見られないのが残念です。
現場脇にあった工場はその後、伊奈製陶に引き継がれることになります。このスクラッチタイルは、「簾煉瓦(すだれれんが)」とも呼ばれています。
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