左官一服噺 建築部位○海鼠壁(なまこかべ)(sort of exterior wall tiling finish)25 

伊豆松崎の四半貼り模様の 海鼠壁

伊豆松崎の四半貼り模様の 海鼠壁

海鼠壁は、土蔵壁面(主に腰巻部分)に平瓦を張り、その接断面に漆喰をかまぼこ形に塗り上げたものであり、その盛り上げられたかまぼこ状の目地が、海にいる海鼠に似ている事からその名は由来しています。

瓦下地の塗籠は戦国期に銃弾の貫通を防ぐための工法といわれています。城郭や武家屋敷に防御壁として瓦を貼りそのことが、その後に耐水や耐火に優れた工法であることが判明しました。漆喰及びその下地材となる土壁は、吸水性が大きく、水に弱い性質があり、雨水進入によって粘性が著しく低下してしまいます。土壁に雨水が浸透すると、土壁の「戻り現象」が発生させる共に、土壁に進入した水が温度の高まりと同時に水蒸気となり、水蒸気圧によって上塗りの漆喰をも剥落させてしまいます。

特に海岸近くで、風雨が吹き付ける地方の土蔵の隅、腰、庇の上部などの故障が著しく、上塗りの漆喰が剥落したのを、よく見かけます。このような部分に瓦を貼ることにより雨水の進入を防止することができます。また、江戸時代において防火構造の奨励によって、武家屋敷や長屋門に張られた腰板に代わるものとして瓦が貼られるようになり、次第に武家の屋敷や商家の見せ蔵に用いられるようになりました。

雨がかりの腰巻部分に平瓦を貼り、目地を漆喰で盛り上げ工夫されるようになります。そして海鼠壁は土蔵造りと共に発達し、江戸幕府末期から明治始めにかけて最盛期をむかえことになります。土蔵造りで腰周りの海鼠壁は、黒い瓦に白い漆喰の目地のコントラストがとめも美しいものです。

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