左官一服噺 材料○ドロマイトプラスター(Dolomite Plaster)110
現在、リシンの搔落としやモルタルの混和材としか使われていないドロマイトプラスターの噺です。ドロマイトプラスター、通称ドロプラと呼ばれていました。昭和30年代の学校や公共施設の内壁はほとんどこの、ドロマイトプラスターでした。内壁の仕様をみると、コンクリート下地にモルタル下塗り、木刷り下地に骨材入りドロマイトプラスター下地にドロマイトプラスター仕上げです。
なぜ、ドロマイトプラスターが漆喰に代わって使われるようになったのでしょう。いくつか理由があると思います。
- 漆喰のように糊を必要としない。
- 漆喰のように練って、寝かせる必要がない。
- 粉角又がまだ一般的でなかった。
- 表面強度がでる。
- 安価である。
等の利点がありました。
しかし欠点もありました。
- 強度が高い分、収縮が大きく、ひび割れが広く発生する。
- 押さえるタイミングで横びかりが発生する。
等です。
公共施設の内壁も塗装やクロス仕上げに駆逐されてしまました。
ドロマイトプラスターの歴史を振り返ると、大正6年(1919)に葛生でドロマイト鉱床を発見し、採掘を開始しています。また、大正末期から国策のため、満州からドロマイトプラスターが多く輸入されるようになります。戦地の悪化により、満州からの輸入が途絶えると、今度は、葛生での国産のドロマイトが多く使用されるようになります。
戦後は、戦前を上回る重要があり、昭和27年(1952)にはJISが制定され、昭和29年(1954)には建築学会のJASS 15に適用仕様とされています。ドロマイトプラスター製品には下塗用と上塗用とがあり、下塗りにはセメントを混合して塗り付けとしています。左官工事によっては、ドロマイトプラスターに消石灰や石灰クリームを混合する工法もありました。
また、ドロマイトプラスターの使用方法としては、色セメントや色モルタルにドロマイトプラスターを増量材としたり、セメントモルタルの増粘材料としたり、保水効果としての混和材ともしていました。使いようによってば、バリエーションの富んだ左官材料といえます。
一時期、ドロマイトプラスターが多用されたことで、現場用語として「プラスター」といえば、ドロマイトプラスターのことを指していた。
しかし、現在のJASS 15では、ドロマイトプラスターがありません。内壁仕様に漆喰はあっても、ドロマイトプラスター仕上げの仕様がみつかりません。
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