左官一服噺 下地○石膏ラスボード(せっこうラスボード)(gypsum lath boards)82
石膏ラスボードは石膏ボードの一種で、塗璧下地用のボードのことです。ボード表面のくぼみが半貫通のもので「型押しラスボード」ともいいます。かつて、塗下地となる石膏ラスボードは、長手方向の側面が紙で被覆されていない「B型方式」と呼ばれたものでした。石膏ラスボードは、石膏ボードの2級品を455mm×910mmに切断し、これに直経16mm内外の穴を、縦横90mmピッチ間隔で、穴をあけたものとして製造されていました。これを、「平ラスボード」といいます。
現在は先に述べた半貫通の凹みをつけたもので、主原料が石膏で、2枚の強じんなボード用原紙の間に石膏が結晶状態で硬化している型押した板です。
内壁の塗下地は、木摺下地が昭和戦前から昭和30年頃迄で、小舞下地が昭和35年頃迄で、ありました。木摺り下地、小舞下地の需要減少した理由は、石膏ラスボードの出現によるものです。石膏ラスボードは戦前にもありましたが、急速に左官施工に伸長したのは、戦後の住宅需要が高まる昭和26年頃からです。
石膏ラスボード下地は木摺、小舞下地に比べて施工性が良好で、安価で、工業製品であるため品質が安定していることによって、塗下地として社会に受け入れられたのです。
石膏ボード下地を設ける作業は、大工職人がラスボード下地まで行い、左官職人が後を受け持ちます。さらに、ボード用石膏プラスターに繊維壁仕上げの「ラスアンドプラスター工法」が全盛となり、小舞下地が急速に減少する時期でありました。
これによって、今までの小舞職人の多くは、廃業を余儀なくされました。多くの小舞職人は、左官や鉄網ラス張り業に転職しました。
伝統的小舞下地は、都市部では、ラスボード下地に主な左官下地として明け渡すようになり、昭和35(1960)年頃に終焉を迎えるようになります。
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