ラス下地モルタルの基本の直張り工法です。
直張り工法は木造ラスモルタルの下地で全国的に使用されている工法です。しかし、雨水が内壁面に直接侵入したり、内部の結露によってラス下地や構造軸組みを腐朽させてしまう欠点もあります。
ラス下地はラス下地板か下地面材か?。
ラスの下地となるものには、「木摺り(きずり)」と呼ばれていたラス下地板と構造用合板の下地面材があります。ラス下地板は、厚さ12mm×幅70mmのものです。下地面材は、良く知られているコンパネ類のものです。
木造の造軸組は、柱、梁、筋交い等の多くの部材が組み合わさって構成されており、壁によって耐震性が高まります。この耐震性に関しては、ラス下地板より、構造用合板のような面材の方が優位に働きます。しかし、左官仕上げのひび割れ等の不具合を比較した場合では、ラス下地板の方が下地面材より勝るように思われます。
今までの経験から、下地面材は、外力による振動や応力を直接に接合部へ伝えて、その結果、ひび割れや大きく口が開くことがあります。また、接合部の切り口に、合板自身の吸水によって膨張・収縮の動きが発生し、前記同様にひび割れ幅が大きなものとなる傾向にあります。これは合板に限らずノンラスを含め面材の欠点でもあります。
ラス下地板(木摺り)の材料・工法
従来、「木摺り(きずり)」と呼ばれていたものです。厚さ12mm以上,幅70mm以上の乾燥材であり,柱および、間柱等へ留め付ける板のことです。ラス下地板は、単にラスの取付け下地としてではなく、軸組補助材としての構造的な役割をもつ材料でもあります。そのため、腐りにくい樹種であること、十分な板厚のあること、十分に乾燥した材料であることが要求されます。
施工法はN50㎜の釘で2本づつ機械打ちが主な工法でありますが、最近ではビス留めが多くなっています。継手は、柱・間柱心で突き付け、ラス下地板を5枚以下毎に乱継ぎとします。柱・間柱等への留め付けは、ラス下地板の目透かし間隔を親指程度の25㎜内外とします。この寸法によって、ラスの留め付け100mm.ピッチが可能となります。
小幅板の張り方は妻側の屋切りの一部で、斜めに拝み打ちあるいは嵐打ちをすることもありますが、一般には水平で平行に張ります。斜めに張る方法は小幅板の乱継ぎが可能でありますが、一方、裏板が水平でないため、ステープルの打ち損じが多く防水紙のフェルトの損傷が発生するなどの欠点もあります。
下地面材(構造用合板)の材料・工法
枠組壁工法に特に使用されているものであります。壁倍率の確保からも構造用合板を標準として軸組構造でも多くのハウジングメーカーで採用されています。
構造用合板の取り付けは機械打ちが一般的であります。 構造用合板の張り方は910㎜×2,440㎜または910㎜×2,730㎜版を縦張りとし、1,220㎜×2,440㎜を横張りまたは縦張りとすます。釘打ちは、CN50を外周部、100mm間隔以内、中間部200㎜間隔以内に打ち付けます。
防水紙とは。
防水紙の役目は水の侵入を防ぐ遮水防水とモルタルのアルカリによって木摺下地の耐久性の劣化を防ぐための効果があります。
防水紙はアスファルトフェルトが一般的です。
防水紙に使用されるのは、アスファルトフェルト430です。ここでいう430とは製品の単位面積の質量(g/㎡)のことであり、1㎡あたり430グラムのものを使用します。一般的な呼び名は『20㎏フェルト』ともいい、1巻が20kg のものです。
直張りは特に雨漏り対策が必要です。
防水紙の工法は、横張りを基準とします。理由は縦張りに比較してフェルト内部に侵入した水を早く輩出できることです。
ブチル系の両面防水テープを、ラス下地板の面合わせ材に接着させ、さらにアスファルトフェルトの防水紙と接着させます。防水テープは、ポリエチレンネットが芯に入った50~75㎜のブチル系テープが多く使用されています。
加硫ゴムの弾性と、パテ状シーリング材の可塑性を同時に兼ね備えた性質で、接着性に優れており防水性も高いものです。合板等の面材下地ではフェルトを張る前に、ラス下地には、面合わせ材が必要となります。
先張りシートは、改質アスファルトを使用し、サッシュ枠からの雨水が浸入したら、先張りシートで、雨水を処理して屋内に侵入させないことです。先張りシートはサッシュの横枠より大きく取り、だれ下げるようにして、雨水を排出しやすいようにします。アスファルトフェルトは、先張りシートの下にして、差込むようにします。
防水紙には、改質アスファルトフェルトもあります。
改質アスファルトフェルトとは、合成繊維(ポリエステル)不織布に改質アスファルトを含浸塗覆したものです。重量が41m巻きで13㎏とアスファルトフェルト430と比較して、軽量であります。製品は柔軟であり、寒冷地や冬季でも折れ切がなく、細部でも作業性が良いのが特徴です。
さらに、ステープルの釘穴の回りをしっかりシールしてしまう改質アスファルトフェルトを採用することで、シール性が高まります。しかし、まだ若干価格は高いのですが、品質と性能と作業性の良さから、今後、多くの需要が望める製品と思われます。
ラスの材料は、波形ラス1号が一般的です。
波形ラスとは、波をうつような形状のラスでモルタルの中心にラスを入れることにより防火性能や耐震性を向上させる働きをするものです。波形1号とは、質量が700g/㎡、で編目寸法16㎜×38㎜以下で防錆処理したものです。
規準にある質量700g/㎡とは、かつて使用されてきたワイヤラスがその数値に近いため、この質量が使用されたといわれ、根拠となる数値に絶対性があるものではありません。
波形ラス1号の施工法は、千鳥に配置し、継目は縦、横とも30mm以上重ね継ぎます。ひび割れ防止のために、開口部付近で継目を設けないようにメタルラスをL形に切断して張ります。さらに、開口部には200mm×100mmの平ラスを各コーナーに、でくるだけ近づけて斜めに二重張りとします。波形ラス1号の留め付けステープルは1019のJ線を使用します。
コブラスという材料もあります。
コブラスはメタルラスの一種で、平ラスの一部をコブ状に盛上げたものです。
一定間隔で窪みを設けることで、裏板より浮きあがり、モルタル塗りの厚さを確保できます。これによって安定した強度を保ち、防火性能を向上させます。施工法は、こぶラスの凸部に着色されている、その凸んだ部分にステープルを打ち込みます。コブぶラスの留め付けステープルは、1019のM戦を使用します。
ラスの留め付けステープル
ステープルは,ラスで補強されたモルタルを下地および構造体に取り付けるための肝心な部材です。ステープルとは⊃状のものをいい、又釘、タッカー釘の総称でもあります。
ステープルは、仮留めの手打ち用と、本締めの自動釘打ち機用(エアータッカー)があります。参考に呼び名の1019Jとは10が肩幅で19が足長さ、J線となります。線径の太さはM線>J線>F線となります。本締めに使用するステープルは、1019Jを使用します。