外壁の漆喰やタイルの汚れ
外壁での漆喰は、経年によってアルカリ度(pH)が下がります。アルカリ度か高ければ樹木の種子や胞子 (ほうし)となるシダ植物・コケ植物・藻類・菌類が表層に根付きを防ぎます。漆喰や吸水の多いせっ器質のタイルは、苔の栄養分となる水分を蓄えてしまいます。そのため、見苦しい状態となってしまいます。
漆喰での解消方法は、高圧・低圧洗浄で苔等を取り除きます。漆喰表面にひび割れ等がある場合は、ひび割れを補修し下地のを調整します。苔が深く、一部剥落している部分は、漆喰を剥がし、弊社のアルモルタルで補修・下地調整を行います。仕上げは、下地の状況、費用等を基づき仕上げ方法をご提示いたします。
外壁漆喰の主な不具合
漆喰壁の黴の発生箇所はどこか。
外壁に施工された漆喰は、黴(かび)の発生することがあります。特に西面と北面みられます。発生する面としての原因は、➀樹木や隣地との建物との隣接関係で通風が悪いこと。②付着物や雨かかりの多い面で、多湿な面である。③紫外線照射量の少ない面である。が考えられます。これらの原因から、今まで黴は、多湿の箇所に発生するものと考えがちですが、低湿度の面にも発生が確認されています。
無機質の漆喰壁になぜ黴が発生するのか。
漆喰は消石灰が主体で無機質です。でも苆や糊は、「黴の栄養素になるのでは」という疑問があります。既調合の漆喰の苆は、ガラス等で形成され、麻苆は、漂白という化学処理がされます。多少糊とする、粉角又が考えられますが、海草類を加工して粉末にしたもので、有機的な栄養分のほとんど無い状態です。天然海藻糊を煮て作った糊の保存は、消石灰を被せた状態にします。海藻角又糊は、消石灰に混ぜれば、なかなか、腐るものではありません。
では、漆喰そのものが黴ることではなく、なぜ、壁面に黴が発生するのでしょうか?。漆喰の大きな利点でもある、吸水(湿)・放湿性能に優れているためです。漆喰は、多孔質の状態で硬化します。その結果、吸水性がよく、多孔質の空隙部分に雨水や付着した植物・土等の塵埃から栄養分が供給されてしまいます。漆喰を塗った当初は、漆喰が強アルカリ性のため、黴を寄せません。漆喰の炭酸化による硬化が進み、PHが低下してアルカリから中性化してくると、先の付着物によって黴が発生してきます。
漆喰の黴を防ぐには。
漆喰の黴の発生を回避するには、以下のことが考えられます。
➀まず、設計段階から軒先の出を大きくする。また開口部には、霧除け等の庇を設ける。
②漆喰仕上げの部分に浸透型の撥水防水剤を施す。
③多孔質の仕上げにしないで、磨き仕上げにする。
漆喰の黴・汚れの解消法黴の部分は塩素系薬剤で殺菌・漂白し除去する。
漆喰に黴があれば、タオル等で乾拭きすることで表面に付着している菌糸や他の付着物は除去できます。ひどい黴の状態なければ、この作業で黴の汚れは、気にならない程度にまで減少します。しかし、この状態を放っておくと、確実に再発しあます。まずは、塩素系薬剤で殺菌・漂白いたします。次亜塩素酸ナトリウムは、空気中で放置しておくと、次亜塩素酸ナトリウム自体が自然と分解して、無害な炭酸水素ナトリウムに変化して、殺菌・漂白効果が消滅します。
薬剤は次亜塩素酸ナトリウム系のものを使用します。薬剤を塗布し、殺菌・漂白後に、水洗いをして黴の着色を脱色し、殺菌させることができます。
この作業で、その場所の黴は、消滅することができても、環境が変わらないかぎり、壁の病気の再発は、免れません。そこで、殺菌・漂白処置後に、浸透型の撥水防水剤を塗布して、再発を防ぎます。
○汚れの状況
○洗浄及び下地の調整
ガラス補強ネットを砂漆喰で伏せこむ。 |
雨が当たる箇所は表面硬化を高めるためにパフがけをしている。 |
○新たな漆喰仕上げは浸透性撥水剤を施します。
弊社では、漆喰仕上げ面に使用する撥水剤は、ダストテクトという商品名を使用します。ダストテクトはフッ素樹脂を含んだシリコーンナノハイブリッドコーティング材です。フッ素ポリマーが含有しているので、耐久性のある撥水効果があります。漆喰は多孔質であるため、空気の流通があります。そのため、雨水はシャットアウトし、水蒸気を通さないような材質であることが必要です。ダストテクトは、雨や水滴は通さないで、通気性を保ちながら高い撥水効果を発揮し、塵埃や苔など汚れの付着を防止します。
漆喰の汚れに対する仕上げの種類 |
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仕上げの種類 | 改修計画 | 改修工程 |
①吹付け仕上げ | アクリルソフトリシン、吹付けタイルによる仕上げ。漆喰の風合いはなくなってしまう。 | 下地調整→プライマー処理→各種吹付け仕上げ |
②塗装仕上げ | 艶消しペイントによる仕上げで漆喰の風合いを醸し出す。また、ガイナ等の塗装によって断熱の付加を計る。 | 下地の状況がフラットであることが条件となる。→プライマー処理→シリコン樹脂塗装。 |
③アクリル樹脂の左官鏝仕上げ。 | ジョリパットやベルアートで建物外装のイメージチェンジ計る。 | 下地調整→プライマー処理→各種左官鏝仕上げ。 |
④漆喰仕上げ | 建物の風格・高級感を維持し、再度カビ等が発生しないように配慮する。 | 薬剤によるカビの等の除去→下地調整→プライー処理→砂漆喰→漆喰ライムウオール撫で仕上げ。 |
タイルの汚れの解消
タイルの汚れとそれに伴うシーリングの打ち替え工事です。とくに劣化したシーリング部分付近の汚れが特に目立ちます。目地部からのエフロレッセンスが見られます。これわを撤去する必要があります。
シールの打ち替え
劣化し、小ひびがあるシールの状況です。このひび割れ部から、雨水が侵入した形跡が、各所で確認できました。
シールは信越化学の変成シリコーンシーラントのブラックです。変成シリコーンはシコーン樹脂と比較して塗装が可能であります。
シールの打ち直し終了の状況です。
一部設備部材等の塗装仕上げ
パイプバンドが錆び付いて劣化しています。バンドは今回すべて取り替えることにしました。
パイプの塗装は、外壁タイルと近似な色彩の一液弱溶剤形ポリウレタン樹脂塗料で商品名がマイルドウレタンを選択しております。この材料は、ウレタン架橋で硬化し、強靭な塗膜が高耐久性を示すと同時に、耐水、耐アルカリ性、耐薬品性に優れています。また、汎用タイプの塗料と比較して、汚れにくい塗膜構造をもつものです。
タイル洗浄材料・工法
洗浄前のタイルの状況 |
洗浄後のタイルの状況 |
まず、タイル、コンクリート用の洗浄液SCクリーナーを使用します。
SCクリーナーは酸性のため、Sクリート22を使用して中和させ、さらに目地部、コンクリートにアルカリ性を高めます。
頑固な汚れの部分は、タイル洗浄液の「ピカソ」を使用します。これも酸性タイプの洗浄剤なので、アルカリ性の中和剤で中和した後、水洗いをします。
薬剤洗浄後は高圧で、薬剤を落とします。
タイルの撥水処理
今回は、タイルの耐久性を高めるためにダストテクトで撥水処理をしています。 |
タイルの撥水状況。 |