kentのこだわり外壁を日本古来からの風情のある真壁仕上げにする工法です。この工法も施工を良くしないと、雨漏りや外壁のひび割れを発生することがあります。当社では、下地に充分に配慮した工法を提案し、施工を行います。

木造住宅の外壁意匠で伝統的付け柱によることが、多く試みられます。この場合は、柱際のモルタルの取り合いでちり隙が発生する問題があります。これらを解決するには、土壁工法のちり周りを応用することが考えれます。まず、柱際は「ちりじゃくり」という、切り込みを造ります。これによって、外周部分でモルタルが拘束され、ひび割れが防げる共に、ちり隙が隠せます。

真壁の家

真壁の家

木造外壁の真壁工法の下地の状況は、写真の通りです。二層で通気層があるので付け柱が必要とされます。

防水紙は1巻き20キログラムの、アスファルトフェルトを使用します。

真壁1

真壁は柱や梁を顕しその内面に壁を納める軸組の構法です。柱の中心に壁があるので中心壁とし、略して「心壁(しんかべ)」ともいいます。「大壁(おおかべ)」に対語でもあります。アスファルトフェルトは有機天然繊維を主原料としたフェルト状の原紙にアスファルトを浸透させたものです。外壁に使用される防水・防湿材料。屋根用としてアスファルトルーフィングもあります。使用する1巻き20キログラムの防水紙は、アスファルトフェルト430といい、1㎡に付き430グラムのものです。色が黒色系であり、水だけではなく湿気(水蒸気)も通さない性質を持つものです。直張り構法や二層下地通気構法のモルタルの裏面に使用します。モルタル外壁に規格品外の17kg品や8kg品を代用し、構造躯体が劣化している事例がよくあります。

外壁のラスは波形1号を標準とします。平ラスは補強用に使用します。

真壁2真壁ちり廻り1

ラスは品質保証の保険会社の仕様書にある波型1号を使用します。また柱際でひび割れが発生することが多いため、弊社が工夫して作った外壁用の布連(のれん)を打ちつけて、モルタルと一体にします。内壁の真壁に使用される布連は、柱と壁のちりすきを防ぐものです。内壁用は長さ20㎝程度の細い竹棒に、幅3㎝程の麻布や木綿布の荒目のものを、糊で付着したものです。今回使用布連は目地棒に、外壁に使用するガラスメッシュを使用しています。布連は竹棒を棹に見立てると商家の「のれん」に似ていることからこの名の由来になっています。

真壁3

ラスを留め付けるステープルは肩幅10㎜、足の長さ19㎜のステープルを10㎝間隔に千鳥に打ち込みます。ステープルとは、ラス網を固定するための「コ」の字形の針です。使用材料は1019Jと呼ばれるものです。最後にある「J」とはJ線を意味します。

モルタル塗りは2回塗の16㎜以上とし、表層に耐アルカリ性メッシュを伏せ込んで、布連のメッシュと接合させる。これでひび割れを解消

真壁4真壁ちり廻り

ラス下地用既調合モルタルを使用して16㎜で、防火基準となります。ラス下地用既調合モルタルは、今迄、現場で砂とセメントを混ぜ合わせて使用したものと異なり、工場で生産され、品質が一定に保たれた既調合セメントモルタルです。そのため、現場での汚れが解消されています。

仕上げは、弊社の漆喰ライムウオールを使用します。

真壁に漆喰仕上げは、なんともいえない風格のある建物にします。しかし、ひび割れが心配で、というお客様があります。このひび割れを解消するために、先の耐アルカリ性メッシュが効果を発揮します。また、漆喰のひび割れに関しては、材料・工法を工夫することで、これらもご心配せずに、漆喰仕上げが可能となります。

まず、下地のモルタルは、漆喰に比較して強度が高くなっています。これが、ひび割れの原因となりますが、そのメカニズムは、多少難解ですが、ご説明します。

剛性の高いモルタル下地に接着力や凝集力の小さい、剛性の低い漆喰で塗り仕上げられている場合、仕上げ層の乾燥収縮で層の内面に引っ張り応力が生じることになります。この引っ張り応力が、漆喰の持つ引っ張り強度より大きくなったとき細かいひび割れを発生します。ですから、漆喰に砂を入れてモルタル下地の強度に少しでも近づければ、ひび割れは少なくなります。セメントモルタル+砂漆喰(骨材入りライムウオール)+漆喰(ライムウオール)とするのです。

又、漆喰には、苆(すさ)入れて目に見えないようなひび割れを発生させることで、剥離・剥落防止になります。

このように大きなひび割れを起こさせないためには、昔から使用されてきた、漆喰より少し剛性の高い砂漆喰を下地に使用することで、大いに回避できます。先人の知恵はすばらしものだったのです。

真壁5