「直張りで通気構法って?」と、思われるでしょう。この工法は、合板下地に通気胴縁を設けないで、直接通気層を設ける方法です。では、「どこで通気をするのか?」ですが、この構法はフェルトで通気を取ります。フェルトに工夫がされていて、通気層を確保するものです。
通気用フェルト
防水層となるフェルトを張りますから、当然、通常の2次防水となる透湿防水シートも必要ありません。この構法はすでに、大手ハウジングメーカーで採用されていますが、あまり情報がなく、いざ施工となると、ハウジングメーカーに対応していまい左官は困ってしまうことがあります。ここでは、材料・工法の施工の実態を紹介したと思います。
工法の品質基準はブレストロング工法(BSW工法)を御覧ください。ここでは「直張り通気構法」とします。
1.直張り通気構法の下地
構造用面材下地
合板下地:直張りですから構造用面材下地となります。
根部接合部の通気の取り方
屋根部接合部の通気の取り方:通気層となる防水紙をあらかじめ庇部分に入れ込んでおきます。天井に通気層を確保して置きます。この部分は、木工事となります。開口部および合板継ぎ目部分は、ブチルテープで雨水侵入を防ぐようにします。
2.通気下場コーナー
通気下場コーナー材料
通気下場コーナー:専用のものとなります。クシ目状の部分から通気が確保されます。50本梱包で販売。
通気下場コーナーの取り付け
通気下場コーナーの取り付け:下場起こしは通気が確保するために、刃定木を水切り板金に挟んで取り付けます。通気構法は,土台水切の周辺部より給気して,通気層を経由して,軒天換気口,棟換気口等から排気します。
3.通気フェルト張り
通気フェルト
通気フェルト(VFフェルトⅡ): フェルトに1mm程度ツブツブ(ドット)が、5mm間隔にあり、その隙間間隔を利用して、通気層となります。VFフェルトⅡ 1☓21mの仕様です。
フェルト張り:
フェルト張り:フェルトの白線を基準にして、基本とする下側から張り込みます。730フェルトの20kg/1巻より、柔軟性がありト、多少軽く感じられました。
4.ラスの張り付け(ステープル)
ステープル
ステープルはJ線より太いM線です。さらに錆が発生しないステンレスのS線を使用します。一般的な1019Jより、上位品の0719MSです。写真にある最後Rの文字は、ラスを意味するものです。文房具と異なる品質をもあらわしています。1箱2000本単位で販売されています。足幅に赤く印されていあますが、大手ハウジングメーカーのには黄色となっています。
こぶラス張り
こぶラス(フロートラス)は防火上必要なモルタルの塗り厚を確保させるため、平ラスに数箇所凸形のこぶを加工したメタルラスです。凸部をフェルト方向にして、ラスが浮いた状態にします。ステープルは着色された凸部に打ち付けようにします。ラスが塗り壁の中心に入れることにより塗り厚を確保させ防火性能を向上させる。こぶの部分に黄色く印されていあますが、大手ハウジングメーカーのには赤色となっています。
開口部のラス
開口部のラスは、ラスの継ぎ目が無いように張ります。を開口部分は、平ラスで補強します。
コーナー部分のラス
出隅部は突き付けとし、90度に曲げて製造された補強用ラスを、下張りしたこぶラスの上から留め付けます。
5.モルタル塗り
直張り通気構法専用の既調合ラス下地用セメントモルタル
直張り通気構法専用の既調合ラス下地用セメントモルタルです。スチライト工業株式会社の「ACモルタル」です。一般的な既調合ラス用のモルタルは1袋25kgですが、ACモルタルは1袋30kgあります。多少繊維が多く混入されているようで、ひび割れ防止と弾性を高める性能があるようです。フィアバーボールが、ところどころみられました。
コーナーの張付け
網付け前に、コーナーを張付け、塗り厚を定めます。
上塗りモルタル
上塗り時にメッシュを張り仕上げます。開口部はメッシュを掻き取り、継ぎ目を付けません。
メッシュの継ぎ目間隔は10㌢程度とします。
木鏝で伏せ込むようにして、メッシュをモルタル層に隠し込むようにします。
6.吹付け仕上げ
今回は吹付け仕上げでしたが、この構法はタイル、石張り等の仕上げが可能であるとしています。
杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335 http://s-kent.jp/contact/