kentのこだわり左官仕上げは、経年で劣化します。これは、左官職人として認めざるえないことです。しかし、劣化する要因がある程度分かれば、壁の病気の発症と進行を食い止めることができます。弊社では、リフォームするにあたって、発症した事例の原因と対処法を突詰めて、施工に役立てています。

白華現象

発症状態と原因

セメントの硬化で生成した水酸化石灰やアルカリなどの成分が結露や雨水などに溶解して表面に運ばれ、水滴の蒸発後、炭酸塩がセメントの水和反応に際して生じた遊離石灰で、コンクリート表面に白いシミとなって残る現象です。施工当初の練り水が乾く時に発生するものを一次自華と呼び、硬化乾燥後降雨などで溶透した水によって生ずるものを「二次白華」と呼びます。「エフロレッセンス」、「擬花」ともいい、この現象があることは雨水の浸入があるという証拠でもあります。

庇天井の雨水による白華

庇天井の雨水による白華

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

硬化体の物性が低下することはありませんが、外観を損なわれます。薄い酸で表面を洗浄すると、消えることがあります。根本的な治癒は、コンクリートの改質材を使用することかもしれません。

白亜化(チョーキング)

発症状態と原因

モルタル仕上げに発生する劣化現象で、黒板に書く白ぼく(チョーク)の粉のような白い粉末が、仕上げの表面に付いた状態となります。塗装仕上げに見られるが、最近は、薄塗り仕上げで、ポリマーディパージョンの抽出でも発生します。白華現象とは、異なるので見極めが必要です。

仕上げ部分表れたチョーキング

仕上げ部分表れたチョーキング

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

薄い酸の洗浄で消えることがあります。また、温度が高くなると自然に消えるものもあります。

モルタルの厚塗りによるもの

発症状態と原因

バルコニー・ベランダ等の鼻先部分では、モルタルの厚塗りが見られます。写真もモルタルの厚塗りで今にも剥落しそうな笠木と壁の状態です。塗られたモルタルが熱や冷さの繰り返しによって温度による応力が増大し、接着力が低下してしまいます。あわせて仕上げ層の重量の増加が剥離を進めています。これは、かつて多かったコンクリートの施工精度の不良により、モルタルの厚塗りが通常に行われていた時期があります。

モルタルの厚塗りで今にも剥落しそうな笠木と壁

モルタルの厚塗りで今にも剥落しそうな笠木と壁

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

大きくひび割れしている箇所は、低粘度のエポキシ樹脂を、注入というより挿入します。このように塗り厚が大きい箇所は、普通のモルタルを使用すると、再度同様な不具合が生じます。また、サンドモルタルで1度に厚く塗ると、吸水してこれも同様なことになります。弊社では、ポリマーセメントモルタルのアツモルを使用するか、軽量化を計るためにエポキシの樹脂を採用します。仕上げ層にはガラス補強用ネットで剝落防止対策とします。

かぶり厚が不足による中性化

発症状態と原因

バルコニー、屋根庇、片持ちスラブで、下場の鉄筋でコンクリートのかぶり厚さが不足している部分がよくあります。すでにコンクリートが剥離し、鉄筋が錆びてしまっている状態が写真です。被り厚が少ないことで、コンクリートが中性化し、アルカリ性による鉄筋の保護能力が低下して、鉄筋の発錆膨張からポップアウトにつながるものです。

かぶり厚不足で鉄筋が錆びてコンクリートの剥離している状態です。

かぶり厚不足で鉄筋が錆びてコンクリートの剥離している状態です。

対処法

「外壁のリフォーム」リンクにありますので参考にしてください。

雨水進入による接着低下

発症状態と原因

屋上パラペット、バルコニーの手すり、鼻先の笠木、バルコニーの床に使用した防水モルタルが、ひび割れの発生により防水機能の低下をおこします。この結果コンクリートとモルタルの間に雨水が浸入して接着力を低下させたこと、鉄筋発錆の要因となる水を供給する結果となっています。

床のモルタルが亀甲状に割れて、雨水が侵入した形跡が見られます。

床のモルタルが亀甲状に割れて、雨水が侵入した形跡が見られます。

 

 

 

 

 

 

 

対処法

モルタルの厚塗りが要因となる場合もありますが、初期養生の乾燥収縮によることもあります。伸縮調整目地を施すことも有効です。写真ように床モルタルで、すでに劣化した部分には、モルタルの改質材を塗ります。ナノ単位の材料のため、モルタルの奥深くに侵入して、アルカリ度を高めてモルタルの補強をします。その上に、SBR混入のモルタルで全面にシゴキ塗りをします。

セパレターの未処理による発錆

発症状態と原因

型枠保持のためのセパレーターの突端部になる鋼製金物が、無処理のままコンクリートの表層部に残存している状態です。モルタルの仕上げ厚部分にしか保護層が得られないためこのため、金物の発錆膨張からポップアウトとなっています。

セパレーターのPコン部分を埋めるの忘れて吹き付けをおこなった箇所Pコンに錆が発生している。

セパレーターのPコン部分を埋めるの忘れて吹き付けをおこなった箇所Pコンに錆が発生している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

セパレーターの先端部分と座金を撤去する必用があります。ポリマーセメントモルタルを挿入します。

デイファレンシャルムーブメント

発症状態と原因

建物の増築部分と既存部分の接合部では、仕上げ材料の接合施工処理が不適切で両者の別々に発生変形の差(デイファレンシャルムーブメント)により剥離につながることがあります。

コンクリートの打継ぎ部分でのひび割れです。

コンクリートの打継ぎ部分でのひび割れです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

このような箇所は、エキスパンジョイントを設けます。モルタルを場合も、多少目地で見苦しくっても、その位置で左官の目地造りをします。躯体のエキスパンジョイントと左官目地は、連続して、表面になくては目地の意味がなしません。

コンクリートの打ち込み不良

発症状態と原因

梁の下面や柱の出隅部分では、コンクリートの打ち込み不良がよく見られます。ごみ等の残存によって、密実でない場合もあります。左官のモルタル塗りで、接着不良をおこし、中性化が促進される原因ともなります。鉄筋に対しても、保護能力が低下して、鉄筋の発錆膨張からポップアウトにつながるものとなります。

コンクリート打ち込み時の施工不良で、打ち込みから2週間で錆の発生がみられました。

コンクリート打ち込み時の施工不良で、打ち込みから2週間で錆の発生がみられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

型枠をはずした時点で、点検で行い、発生箇所には早めにポリマーセメントモルタルの充填が必要です。ポリマーセメントモルタルはアツモルが良いでしょう。

海砂の使用

発症状態と原因

昭和40年から50年にかけてのある時期に、セメントモルタルに海砂が多く使用されていた地域がありました。塩分がセメントモルタルに残存していると、水が供給されと鉄筋の発錆膨張からポップアウトにつながります。

海砂を使用した施主から聞かされた、改修現場の写真です。

海砂を使用した施主から聞かされた、改修現場の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

海砂を使用した既存のコンクリートは、水の供給を断つような配慮が必要です。あとは、海砂の使用は避けるように管理するしかないとおもいますが、現在では、使用した事例は全くきかれません。

型枠離型剤の未処理

発症状態と原因

型枠離型剤の適正な後処理と「する除去が、モルタル塗りの前に、十分に行われいない場合があります。そのために、モルタルの接着を低下させることになります。

対処法

油性の離型剤をさけ水性の離型剤を使用します。セメントモルタル塗の下地処理の段階で十分に離型剤を除去します。除去の方法は、超高圧洗浄が有効です。現在はパネコートの合板型枠のため、離型剤の使用は、減少傾向にあります。

不適切な吸水調整剤の使用

発症状態と原因

セメントモルタルを施工する前に吸水調整材を塗布する。水の希釈倍率が不適切なためにセメントモルタルの接着を低下させます。特に水の希釈が少ない場合は、造膜作用によって、コンクリート面に膜を張った状態になります。膜が張ると、モルタルの水の行き来ができなくなり、付着不良となります。

対処法

メーカー仕様書による希釈倍率で塗布します。現在では5から6倍液の薄いものを2回に分けて塗布するようにしています。また、下塗り、中塗り、上塗りとそれぞれの工程によっても塗布しています。

構造的ひび割れ

発症状態と原因

下地の応力の集中によって引き起こされるひび割れです。左官の仕上げによって発生するのではなく、左官の仕上げ技術では防ぎようのないひび割れです。

窓の出隅に発生した構造的ひび割れです。゙

窓の出隅に発生した構造的ひび割れです。

 

 

 

 

 

 

 

対処法

応力が集中する箇所や、それが推定できる場合には、補強用ネットを入れたり、エキスパンションなどの設定することによって、防げることもあります。

剥離・落下

発症状態と原因

仕上げ層に見られる浮き現象は、下地の構造体とモルタル層の界面、モルタル塗り層間があります。特に仕上げ層の欠損の原因は、自然環境や多くの要因によって、仕上げ層部に形成された脆弱部分が、経時に欠ける現象や、鉄筋や手すり等の埋設部分が腐食膨張により押し出され、その部分が欠損する等の現象が見られます。これらの事例では下地コンクリートを伴って欠損する場合が多いものです。

鉄筋の錆によるモルタルのポップアウト

鉄筋の錆によるモルタルのポップアウト

 

 

 

 

 

 

 

 

 対処法

剥落部位、要因、塗り層間等を見極め、弊社のアツモルによって改修工事を行います。

不硬化

発症状態と原因

塗り材を塗って日にちがたっても、硬化強度がでない場合があります。下地があまり、湿潤していると塗り材は硬化不良が発生します。乾燥の遅れによる硬化不良の現象は”sweatout”または”wetout”と呼びます。これは石膏材料によくみられます。逆に乾燥が早すぎた場合の硬化不良はドライアウト”dryout”といいます。ここちらの方がよく聞かれます。最近では吸水調整材が一般化したのでこの現象は少なくなりましたが、薄塗りを行うとまだ、まだ発生することがあります。マイナスドライバーでチェックすることが義務付けられています。

硬化不良によるモルタルの剥落です。

硬化不良によるモルタルの剥落です。

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

凝結・硬化時間については、材料の混練で、砂、結合材料の不純物の混入や、混練時間の長・短により微妙に変化します。塗付け後の養生では、必要以上の通風をさけます。そしてまた水分の蒸発時間が延びると単に硬化時間が遅れるだけでなく、濡れむらを生じたりします。

腐食膨張

発症状態と原因

コンクリート造内部の鉄筋が錆を発生して腐食し、その際の鉄筋の体積の膨張現象が発生します。この体積膨張によって、コンクリートにひび割れや欠損が生じ、コンクリート造の耐用年数を短してしまいます。

鉄筋の腐食膨張でモルタル層が剥離・剥落を起こしています。

鉄筋の腐食膨張でモルタル層が剥離・剥落を起こしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

対処法

コンクリート表面に錆び汁があれば、鉄筋の腐食が「有」と、判断できます。鉄筋の腐食部分をはつりだし、鉄筋の追加の加工が必要な場合もあります。防錆処理をして、アツモルで仕上げていきます。