左官一服噺  用語○鏝動作に関わる左官用語1(Temporary term of movement of the trowel )113

照明を持って仕上げる。

しばらく、更新にご無沙汰しました。これから順次書き込んでいきます。
我々が普段の会話で述べている鏝作業 の言葉のなかには、重要な性格を帯びて いることがあます。ここでは、普段に使用 する鏝塗り作業の用語がどのような内容 であるのかを今回は、や 口伝に見られる内容を紐解きます。お伝えします。
「鏝押え」とは、鏝を垂直方向に押すことを示すことである。
「鏝伸び」とは、材料が鏝によって広がる様を示すことである。
「鏝引き」とは、鏝を平行に移動する様 を示すことである。
「鏝滑り」とは、鏝の移動の良し悪しの 様を示すことである。
「鏝切れ」とは、鏝を移動したときの フィニッシュの際での鏝さばき具合を示すことである。
「鏝むら」とは、鏝での仕上げ状態の良し悪しの状態を示すことである。
「さくい」および「からい」とは、塗り材料が貧調合な状態を示すことである。
「粘い」および「甘い」とは、塗り材料が 富調合な状態を示すことである。
「重ったるい」とは、材料の比重が多い 状態、あるいは粘りやかたい状態で厚付 けが不可能な材料を示すことである。
「軽い」とは、材料の比重が少ない状態 あるいは厚付け可能な材料を示すことである。
「焼き付く」とは、下地に水分が吸収さ れすぎて、金鏝で強く押さえて、鏝の鉄分が仕上げ表面に付着したり、むらに なった状態である。
「腰が強い」とは、材料の粘性が強い状 態を示すものである。
このように、鏝と材料との間に我々左 官の掌、手、手首、腕、肩、目、鼻を通じて微妙さと複雑さを経験と頭脳によっ 識別することができます。これら人間要 因に基づく作業性の良否では、鏝押さえ、鏝切れ・粘り、鏝の柄にかけるモーメントの3要素で解明することが可能であり、左官技術を有機的に結びつけることができなす。

つぎに口伝(くでん)による鏝動作ですが、現在のように左官の技術書がない時代には、 親方が弟子に口で伝える方法によって、 技術の伝承の一端が行われていたと推測できます。親方の技術は秘伝とすることが 多く、口伝の表現は比喩的なものでありました。決して多くを語らない親方が弟子に 伝えるものには、断片的な言い回しの中 に、弟子への注意や激励が含まれ、現在でも応用が可能なものが多く存在すします。ここでは、その一端しか紹介できませんが、できる限り、現場で参考となるように現代の施工法に照らしあわせて、親方の口伝とするものを紹介します。

「鏝むらは、横っ日でよくわかる。」:筆者は、昼間、上手に塗ったつもりの 壁も、夕方暗くなって電球の光で、横に 照らすと、がっかりすることをよく経験しています。周りが薄暗い状態で横一方からの照明で鏝むら、焼き切れのない状態であれば、よほどの技術を体得した職人の仕事と見なければなりません。
鏝むらは水引き具合が悪いと、撫で回数を多くしても 鏝むらをなくすことができなくなります。反対に 下地が乾きすぎて上塗りの水引き具合が早いと、焼き切れが起きて、鏝が当たらない 箇所ができてクレーター状態になってしまいます。下地状態が良く、どんなに入念に仕上げても、一方向からの横からの照明をあてると鏝むらは多少出るものであります。
最近ではむしろ、積極的に鏝の手触りのある、鏝波を生かした壁面が好まれることもあります。照明のあて方によっては、少しの鏝波でも大きくも、小さくも表現されるので、照明位置を確認し、電球をその位置に持ってきて、シミュレーションしながら塗り付けることも一つの方法かもしれません。
続きは次回にします。

杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335 http://s-kent.jp/contact/

 

 

 

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