左官一服噺  材料○天然糊-2(natural glue-2)108

 

メチルセルロース(MC)

 

今日、合成高分子系接着剤が主流であるが、ごく一部の用途として天然高分子系接着剤のよさもあります。天然系高分子樹脂は、各種天然物から抽出、精製し、場合によっては変性させた化合物を高分子樹脂として使用するものです。代表的なものとしては、蛋白質系ではカゼイン、大豆グルー、にかわ、血液アルブミンがあります。

ゼラチン
 ゼラチンは、にかわよりも粘着性が少なく精製度が高いものです。製造方法は動物の骨皮等に含まれるコラーゲンから得られます。骨を酸で処理し、次に110~120℃で水と煮沸し、その溶液を蒸発すると硬い透明質になります。アルコール、エーテルおよび冷水には溶けませんが、温水に溶解して冷却すると、ゼリー状になります。
左官用として、石膏プラスターには遅緩剤となります。また、膠着力あって、砂壁の補強として混和します。

メチルセルロ一ス
 左官の糊といえば、このメチルセルロ一スです。また、MCとも呼ばれています。モルタル混和剤と使用されています。天然セルロース系では、メチルセルロ一スとカルボキシメチルセルロースがあります。白色粉体で水溶性の繊維素系プラスチックであります。界面活性剤で食料品などに粘性を与えるための工業薬品として製造されています。
漆喰用の糊として使用できることがわかり、昭和30年代の終り頃から急速に利用されてきました。白色粉末であり、少量で強い効果を出します。消石灰に対し、0.5~0.8%で通常の鏝塗りに適した粘性が得られます。

カルボキシメチルセルロース
CMCとも呼ばれています。アイスクリーム・モルタル・繊維壁等の増粘剤、乳化安定剤として使用されます。CMCは粘度が高く、毒性を持たず、アレルギー性がありません。アルカリセルロースにモノクロ一ル酢酸を作用させアルコールで精製してできます。現在、繊維壁材料の糊とし

て添加されています。

こんにゃくのり
 通常こんにゃくと呼ばれる食品は、こんにゃく芋に含まれるこんにゃくマンナンという多糖を糊化し、アルカリ質で特に消石灰が使用されます。これは通常、消石灰である水酸化カルシウム水溶液ですが、かつては、灰を水で溶いた汁を使用していました。独特の食感があり、一度凝固させたこんにゃくは、水溶性を持たず、強い弾力を示します。凝固する以前のこんにゃくのりは、塗り付けると防水性・気密性を発揮することから防水加工用の素材として盛んに利用されました。和傘などでこんにゃくのりとして利用されていました。左官用としては砂壁に広く使われていました。

天然ゴム
   高分子多糖類と考えられており、ゴムの代表がアラビアゴムであり、また似たものにトラガカントゴムやグアーガムがあります。水に対する溶解性が高く、天然ゴムの水溶液は、強い粘性があり、良好な乳化安定性があります。食品添加物のうち、乳化剤や安定剤として飲料や食品に広く使用されています。身近なところではアイスクリームなどの菓子類や、ガムシロップが典型的なものです。特に水彩絵の具の基材は、アラビアガムが主成分であります。乾燥時にべたつかず、わずかな水分で速やかに粘性を示すので、切手の接着面の糊にも使用されています。戦後の一時期、砂壁がばらばら落ちるので、アラビアゴムで、砂壁を塗っていました。

炭化水素系
 蝋(ろう)・ワックス・アスファルトを主成分とした樹脂があります。近年は石油の原油を分留して得られる蝋質の炭化水素であるパラフィン系のワックスが主に使用されています。狭義の蝋(ろう)であり、ワックス・エステルは、化学的にも合成されています。

杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335 http://s-kent.jp/contact/

 

 

 

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