左官一服噺 構法○ひび割れと剥離( Cracking and peeling )99
ひび割れとは、ひびが入って割れ目のできることです。仕上げの欠陥になるもので耐力、耐久性を低下させなす。「亀裂(きれつ)」、「クラック」ともいいますが、この用語は主に土木の方で使用されます。建築では「ひび割れ」が用語として広く使用されています。。
剥離とは、タイルやモルタル層と躯体コンクリートとの界面における相互の接着が不良となり、間隙が生じ部分的に分離した状態です。また、「浮き(うき)」ともいいます。
モルタル塗り仕上げ層の剥離・剥落の発生は、RC構造の壁を対象とする構造躯体と仕上げ層間でよく見られます。またモルタル塗の仕上げ層では、下塗り・中塗り・上塗りの下地モルタル層間の各界壁でも剥離や浮きが生じます。
タイル張り仕上げの場合には、この下地モルタル層とタイル張り付けモルタル層、あるいはタイルと張り付けモルタル層の界壁にも剥離が発生します。そこで剥離は、壁の断面方向において、複数で発生することもあります。
剥離が成長して、これと健全部との境界にひび割れが発生したとき、地震等で壁に振動が生じたたり、壁全体の動き(ムーブメント)によって遂に剥落に至ります。
剥離が生じている箇所には、必ずといってよい程、ひび割れが発生しています。逆にひび割れが発生していても、モルタルとコンクリートの界面で良く接着して、剥離していない状況は多くあります。
RC躯体に接着力や凝集力の小さい、即ち剛性の低い左官材料、例えば漆喰で塗仕上げられている場合では、仕上げ層の乾燥収縮で、塗層の内面に引っ張り応力を生じます。
漆喰という仕上げ層の低い引っ張り強度が、より大きくなったときに、細かいひび割れを生じますが、反対に、ひび割れの発生で引っ張り応力が緩和され、剥離にまで至らないことがあります。
それに比べて剛性の高い、圧縮強度などの凝集力の大きい左官材料、例えばセメントモルタルやドロマイトプラスターが塗られた壁は、引っ張り強度も大きいので乾燥収縮による細かいひび割れを生じにくく、幅の大きなひび割れが発生します。
結果として仕上げ層とRC躯体下地との界面に大きなせん断応力や引っ張り応力を生じ、下地との接着力がこれを下まわるとき、剥離が生じます。
さらに、窓回りの開口部の切り欠き部(ノッチ)、また層の弱い所や変形の甚だしい所に応力が集中して、大きいひび割れが生じ、結果として浮きや剥離に悪い病気となってしまします。
壁面は、強度のみを高くすると、かえって事態を悪化させることにもなります。また、小さなひび割れは、地震等の外力を吸収する役目をします。
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