左官一服噺  道具○繰鏝(くりごて)(kuri-gote trowel)80

 

かんぐり鏝(鐶繰鏝)

かんぐり鏝(鐶繰鏝)

繰鏝(くりごて)とは鏝の一種で、壁と床・壁と天井の接合部でアールの仕様に使われるものです。蛇腹仕上げの場合は、繰鏝の大きいものを使用します。

  広く使用されている「くり」という用語は、機械を回して穴をあけることやその部分のことで、えぐれた部分を表します。左官では、壁と床・壁と天井の接合部でアールの仕様に使われます。蛇腹仕上げの場合はくり鏝の大きいものが使用されています。

「くり」とは抉(えぐ)り抜く状態のことを意味し「繰鏝」と表します。よって、左官の鏝では、えぐれた凹部を仕上げるために、先端部分に丸みがあります。ところが、土蔵にある「粒」と呼ばれる、乳房を想像できる部分は、凸になっているため、使用する「粒引き鏝」は引面が凹弧面をしています。「粒引き鏝」も「繰鏝」と呼ばれる一つですが、「栗鏝」と書く場合もあります。鏝の形状といい大きさといい、まさに「栗」でとても上手い表現だと思います。

 繰鏝には、「平繰鏝」、「かんぐり鏝」、「エンバル鏝」等があります。えぐれた凹部を仕上げるので、「エンバル鏝」がよく使用されます。「エンバル鏝」は「インパール鏝」とも呼ばれ、中首の中で一番小さな鏝であります。呼び名の由来は文字通り「円を張る」作業からきたものであります。最近では水道工事の職人が排水桝のパイプの継ぎ部分でも使用しています。

  もう一つ、紹介します「かんぐり鏝」です。「かんぐり鏝」は「鐶繰鏝」とも書かれることがあります。「鐶(かん)」とは金属製の輪を意味しますが、輪型状態の内側を仕上げには、もってこいで、鏝先端あるいは全体が上に沿って向いています。エンバルと同様に曲面を作りますが、エンバルは両舟といって両先端が上を向いているが、かんぐり鏝は片舟と呼ばれて片側のみ上に反っているのが特徴です。 

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