左官一服噺 歴史○半焼鏝( hanyakigote-trowelen)73
半焼鏝は、肉厚が薄く作られており、主に下塗り、中塗り作業に使用されます。
我が国の鏝は、昭和初期のものと、現在で使用されている鏝と形状に大きな相違がありません。明治初期の鏝は「黒打ち」を含め、焼き入れで「油焼き」、「本焼き」があり、ここにない、現在でいう「半焼き鏝」は、明治以降に左官職人が手にするようになります。
この半焼き鏝は、明治の末、神田の山吉と呼ばれる鏝鍛冶が、地金鏝を炭火で着色し、「半焼」という名で売り出したのが始まりだといわれています。地金を炭火で着色したもので焼き入しないで製作したものであります。この開発理由として、明治初期の荒鏝は、黒打ち鏝が主力でありましたが、明治中期に入りセメントの開発により、土壁より粘りが少ない材料に対応する鏝が、左官職人から求められたからです。半焼鏝は黒打ちより多少堅いという意味を含めて「半焼」と呼ぶようになりました。
現在の半焼鏝は、中首鏝の中心的存在でモルタルの下塗り、中塗りなどに広く使用されています。鏝の表面は青褐色しているのは、丸鋼・鋼板を使用して,焼き入れ、焼き戻しを行わず、300 ℃位のソルトバスに浸して青着色しているためです。
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