左官一服噺  材料○セメントの硬化(Curing of cement) 64

40㌔㌘のセメント袋

40㌔㌘のセメント袋  昭和46年まで1袋 50㌔㌘で、平成8年まで40㌔㌘で、その後に、現在の25㌔㌘となっています。

セメントを使用したモルタルの基本的性質は、水を加え混練りすると、初めに分散媒が液体状のもので「ゾル」の状態になります。これは、超微粒子が気体・液体中に分散した状態の「コロイド状」であります。

この状態に、鏝で加圧すると容易に流動し変形します。そして、そのまま鏝を静止すると、モルタルは形を保持します。このような状態になることは、左官作業を行う上で重要な要素となります。鏝を離したら、だらだらと壁から落ちてくるようでは困まります。

しかし、この状態はセメントが水と仲良くするにつれて、流動変形がしにくくなります。セメントが少しづつ硬化し始めたのです。これを、凝結(ぎょうけつ)といいます。セメントの凝結によってゼリー状に固化した「ゲル」の状態となります。また、その後、時間がたって、硬化が完了すると固体状の「ソリッド」になります。

このセメントの水和反応は、温度に強く影響します。温度が高いときには、反応速度が速くなり、凝結や硬化時間が短くなります。夏場の土間モルタルで、早く硬化して厳しい経験を何回もしています。

また、湿度にも影響を受けます。乾燥空気中、太陽光の直射、通気等によってモルタル中の水分が蒸発し、短時間で固化してしまいます。セメントモルタルは現場で、水を加えて混練して、直ちに下地へ鏝塗りした場合と、直ぐには使用せず、練置き時間を長くとって鏝塗りした場合とでは、当然条件が異なります。作業性やその後、硬化した物性も異なってきます。

セメント硬化体の形成で、水は重要な役割を果たします。セメントを水で混練りすると、その空隙は水で満たされ、そのもの同士は連続しており、これをキャピラリー水と呼ばれています。セメントの水和に必要な化学的結合水の量は、セメントの重量の25%であります。そのほかにセメントの重量の15%の水は、ゲル水と呼ばれ、曖昧なかたちで結合しますが、その後、空気中において蒸発していまい、微細なゲル空間が残されます。

さらに、水和反応に必要であったキャピラリー水が、消失したあとに残される空隙があり、これは水、セメント比が高くなると大きくなります。このゲル空隙とキャピラリー空隙を合算した全空隙率が、セメントの強度と収縮を決定させます。そして、混練りによって抱える気泡も硬化体に影響を及ぼします。

左官が現場で使用するモルタルは、水の割合がセメントの重さで、約60から70%になります。ですから、いかに水の量を減らすかという「左官は、水との戦いです。」

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