左官一服噺  道具○煉瓦鏝(レンガ鏝)(brick trowel ) 61

煉瓦鏝

煉瓦鏝 焼入れは本焼き、ステンレスでサイズ:一,二、三、四、五番で数が大きくなるほどサイズは小さくなる。

煉瓦(レンガ鏝)は洋鏝の一種である。明治期に入り煉瓦造りの洋館が建設されるころ、当時の左官職人が4寸の「お福柳刃鏝」で煉瓦を手早く積み上げたと云われています。

その後、外国から煉瓦積み用の鏝が日本に輸入されますと、その煉瓦鏝が「お福柳刃鏝」に類似していたので、日本の左官職人が驚嘆したらしいです。輸入された煉瓦鏝の形状は、桃型(ハート型)と、お福型(おかめ型)との2種類に分けられます。

寸法が大きい方から一.二.三.四.五番と区別されます。この番号の呼び名で洋鏝と分かります。日本の鏝としての名称として考えたとしたら、どのように表現するでしょうか?  例えば「元首本焼き桃型煉瓦鏝4寸6分」を縮めて「桃型煉瓦鏝4寸6分」でしょうか?

左官が使用する煉瓦鏝は、主に材料を鏝板に移すことに使用したり、安価なものが左官材料を練り合わせやミキサーのドラムの掃除にも使用されます。

一般に、関東地方での煉瓦鏝は「桃型」で、関西地方が「お福型」が使用されています。これも歴史性の理由があり、煉瓦鏝が輸入された場所が、横浜と神戸でそれぞれ輸入元の違いが鏝の形を変えたのだと言われています。

煉瓦鏝の中には、鋼を鍛造して焼き入れして製造ものもあり、この鏝の側で、煉瓦や針金なども切断できます。また、煉瓦鏝には、薄手のものがありますが、この用途は耐火煉瓦積みに使用されます。煉瓦鏝はタイルの「だんご張り」にも使用され、主に四・五番の小さいものが一般的です。この煉瓦鏝を「貼り付け鏝」とも云います。

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