左官一服噺  建物○土壁の家1(つちかべのいえ) Clay walls of the house 53

東北地方の民家

葛屋(くずや):屋根の一種で、植物の草で葺いた建物です。最上のものが、湖萱(うみがや)の芦、葦類,次が薄(すすき)、小麦藁稈(こむぎわら)です。

土壁の家に使用される材料は、当然に粘土であります。関西では「土」、関東では「泥」と呼び名が変わります。採取される場所によって色と質も異なります。粘土の持つ様々な色合い・種々の質感は、その土地に特有の情感をその土地の建物に与えます。

建物の建築計画が開始されるころには、左官は土作りに精を出します。この作業を「土の水合わせ」ともいいます。壁土に5~6㎝に切ったすさとも呼ぶ藁を加え、塗り付け作業を行う迄、水を張ったまま、時々鍬で切り返して、最低3ヶ月程度保存しておきます。雪国の水合わせは筵等で覆い雪の下で年を越しますが、そこは暖かく、土が凍ることがなく、まさに「土を寝かせる」ともいいます。かつて、この作業を受け持つのが若い弟子たちで、裸足で土を踏みつけ混ぜ合わせます。年老いた左官職人は、寒冷地での「土捏ね」の苦労話を、度々、若手職人に聞かせていました。

捏ねる作業は、左官職人にとって、材料の性質を知るうえで、重要な修業の一つで、現在でも左官の基本とされています。藁の腐敗・発酵が進行して周囲に異臭を放つようになると、壁土の粘性が増して塗り易くなります。腐敗した藁の周辺部は分解して芯だけが残り、その芯が壁土の繋ぎ材料となって、壁の強度を増すことになります。塗られて壁土は乾燥すると、あの独特の腐った臭いは消えます。

img002-1杉並の左官です。塗り替え、リフォームお待ちしています。電話03-3398-4335    http://s-kent.jp/contact/

 

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