鉄骨構造に軽量コンクリートでALC板と呼ばれるものです。住宅ではよく見られる構造です。主な剥落原因として、地震による鉄骨の膝折れ現象で座屈があります。窓の開口部の周りで、せん断力という大きな力が、ALC板とタイルに伝達されました。軽量なコンクリートへ、タイルのような重いものを負担させたことも原因とされます。

剝落したタイル箇所は窓周りの出隅部分です。地震外力や建物の歪みがかかる箇所です。モルタルもこの部分でひび割れがおきます。

剝落したタイル箇所は窓周りの出隅部分です。地震外力や建物の歪みがかかる箇所です。モルタルもこの部分でひび割れがおきます。

調査・診断:タイルの剥落部分を確認します。

イルの剥落部分を確認します

まず目視で剝落した部分をどのような状態で剝落かを確認します。さらに打診をして剝落していなくても打診で浮きを調査診断をします。

 集塵機付きのサンダーで、剥落部と健全部を分離します。

サンダーによる切断

剝落部分には貼り付けモルタルやタイルが破断した状態があります。改修部分を目地部で整形するために、ディクサンダーを使用してタイルを目地部で切断します。その際には、粉塵が出るので、集塵機を併用します。これで近隣に迷惑がかかりません。

柔らかいALC板を痛めないように、手でタイルをはつり取ります。てはつり

ALC板はとても柔らかくもろいものです。機械を使用してハツリをしますと、その作業でALC版を痛めて、破壊までいくことがあります。手ハツリは手間がかかりますが、建物を丁寧に扱うことはとても大事ことです。

タイルを撤去して、ALC板の継ぎ目のシールの健全性を確認します。

シールの「確認

ALC板の保全での生命線は目地にあります。目地が機能しなくなると、建物全体に影響を与えることになります。目地部のシールが 健全であるかを確認します。

ALC板同士の継ぎ目でモルタルが、挿入されていない部分は、バックアップ材を挿入して、シールを打ちます。

バックアップ

目地のシールを撤去すると既存のバックアップ材は使用不可能となります。あらためてバックアップ材を挿入します。バックアップ材はシーリング材の3面接着にならないように、また、充てん深さが設計通りになるように、目地底を正しく形成するために、目地の内部に捜入する材料です。

ALC板にはアクリル樹脂のプライマーを塗布して、次に塗るモルタルとも接着を良好にします。ウレタンシール

ALC板は、水の吸収が激しいので、アクリル系のエマルションを使用します。このエマルションは黄色に着色されているので、塗った箇所が確認できます。

ALC板専用モルタルを塗って、表面の補強と、下地の凹凸を調整します。

モルタル

ALC板は、柔らかい物性です。セメント+砂のような強度がでるモルタルを塗るとかえってALC板をえぐるように剥離をさせてしまいます。そこで、下地調整のモルタルは、ALC板専用モルタルを使用します。

 タイル接着材である変成シリコーン樹脂で、タイルを張り付けます。

タイルはり

下地調整モルタルを塗りつけて、表面を平滑にします。タイルの張り付けは、モルタル系に張り付けモルタルではなく、合成樹脂でできた、接着剤で張り付けます。最近の外壁のタイル張りでは、接着剤張りが主流となってきました。目地は、タイルを強固の接着に付加させる、塗り目地にします。

目地は、タイルを強固の接着に付加させる、塗り目地にします。

目地

タイルの耐久性で大きな要素を占めるのが目地です。既存は深目地のため、付着強度は劣っていました。今回は、全面に塗り目地にして補強効果を高めています。塗り目地は、目地材をゴムゴテ等でタイル面に塗り込み、目地ゴテで目地押した後、余分な目地材をかき取り仕上げるものです。