左官一服噺  道具○切付け鏝(kiritsuke gote- trowel ) 66

切り付け鏝

切付け鏝とは、鏝の一種で入り隅部分の仕上げに使用される。「入り隅鏝(いりすみごて)」と「隅付け鏝(すみつけごて)」ともいいます。

「切付け」とは面と面とが交差してできる稜線部分をいい、その面状は直角と丸形があります。鏝の角度は90度で作れていますが、鏝の先端部分が多少、内部に切りこまれています。この切り込みによって、塗り材料との鏝離れがよくなります。

*中首切付け鏝は、切り付け鏝の中心的存在であります。直角でなく面状のものがあり、これを「丸面切り付け鏝」といいます。鏝の焼入れが、本焼き、ステンレス製で、長さが120㎜~180㎜で、丸面切り付け鏝の外面が3、6、9、12、15、18、24、30㎜があります。

*階段用中首切付け鏝は、階段の切り付け部分に使用するで、羽根が直角でなく、80度ぐらいの鋭角になっています。階段は踏み面が水平で、け込みが垂直ではありません。そのため、切り付け角度が鋭角になります。外面角度が調節できる鏝も製造されています。鏝の焼入れが本焼き、ステンレス製で、長さが120㎜~180㎜で、丸面切り付け鏝の外面角度が80度が多くその他特注で製造されます。

*元首箱形切付け鏝は別名で「三角切付け」ともいいます。細部の壁の隅(切付け)に使用されたり、巾木の立ち上がり切付け仕上げに使用されます。鏝の焼入れが本焼き、ステンレス製で長さは60㎜~75㎜です。

*柳刃元首切付け鏝は、元首の舟形状で、周囲に6㎜程度の折り上げが付いています。壁の立ち上がり、巾木取り合いの切付けや巾木の天場部分の仕上げにも使用されます。鏝の焼入れは本焼き、ステンレス製で、長さが60㎜~75㎜です

 

*中首らお面切付け鏝は、切り付け部分が「らお面」になっています。「らお」とはラオスの「らお」でラオス竹を表しています。かつて日本では、刻みタバコを煙管(きせる)に詰めて吸っていました。煙管は、タバコを詰める雁首と、口にくわえる吸い口の間を、羅宇(らお)という細い竹でつないでいました。この羅宇(らお)がラオス(Laos)産の斑(ぶち)入りの竹であったとことに由来します。

さらに、そのヤニを取れるように細い竹を使い、タバコの煙の通りを良くし、新しい羅宇(らお)に交換する職業を「らお屋」といい、ピーピーと音を鳴らして町内をリヤカーで流していたのを記憶にあります。

羅宇の竹を繊維方向に切断した、かまぼこ形状を「らお面」といい、この鏝は防水下地などのR面を取るのに使用されます。鏝の焼入れが、本焼き、長さは150㎜で製造されます。

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